ユニット鉄筋を始めて製品が伸びる原因となったことはどんなことですか。

藤田 一番大きかったのは、大手住宅メーカーのアーネストワンでの採用ですね。依頼があったとき「まだうちは溶接機も何もないが、それでも良ければ」という話をした。それまで製品は少しずつは出していたのですが、そこからアーネストワンの基礎屋さんからワーッと広がって行った感じです。
 その当時の私はコストも何も分からなかったんです。だから大体これくらいで一枚作れる、運送コストは3トン車1台で2万5千円と、そんな感じで全部手探りでやっていた。しばらく評定がなかったのですが、それでもユーザーは使ってくれていた。施工が楽になったからだと思います。基礎屋さんの口コミで広がっていったというのは大きいでね。逆にアーネストワンが使っている基礎屋さんから他のハウスメーカーを紹介されたり、そんな形で広がっていきました。

藤工業の本社工場

藤工業では今どんな分野で展開されているのですか。

藤田 住宅の基礎工事一式、ユニット鉄筋、差筋アンカー、溶接などです。あとは全ねじ加工とかあります。前にも言った通り基本的に鉄筋に関わることは工事も製品も全部やるということです。
 今、住宅分野で増えているのは現場での組立です。基礎屋さんから「組み立ててくれ」という依頼が結構来るのです。対応できるところはなかなかないと思います。「じゃあ藤工業さん、次の現場に行ってね」と、そんな感じで増えています。
 自社で住宅の基礎工事を一式やるのが月に10棟くらいあります。その他に鉄筋の組立だけの仕事を基礎屋さんから委託されるのが20棟~30棟くらいあります。ただユニット鉄筋の生産は全体で1000棟を超えているので、工事するのはほんのわずかです。
 住宅現場担当の職人はいま4人、ビル関係は下請を入れて50人位です。工事部隊を持っているのは埼玉エリアだけです。仕事量を考えると地域性があるので宮城工場や秋田工場では、今のところそこまで考えていません。北海道は組立だけはやっています。今後市場性を考えると北海道は面白いかなと思います。

今後の会社の展開や目指している方向は。

藤田 現状では住宅分野もゼネコンさんの分野もそれなりに仕事をいただいており、来年の春くらいまでは一杯一杯で人が回らないような状態です。北海道、秋田、宮城、群馬、埼玉に工場があり東日本での供給体制は整ってきたのですが、やはり今後は全国の市場を目指していきたいという思いはあります。
 また将来的には鉄筋以外の事も考えていかないと、会社は残らないと思っています。我々が今以上の価格対応やサービス内容を充実しても、ビルダーや工務店側の材料支給が進むようであれば、ユニット鉄筋メーカーとしての会社は残っていけないと思います。だから鉄筋以外の事も考えていかないといけないですね。ただ現在ユニット鉄筋は工場全体の生産量の半分位まで伸びてきて、今後長期的に住宅市場は縮小傾向にあってもユニット鉄筋のシェアは低く、まだまだ拡大の余地ありと見ているので、うちとしては現状維持で頑張って行くと思います。

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